首・肩こりにボトックス(ボツリヌス菌)注射

ボトックス(ボツリヌス)注射とは

ボツリヌス菌がつくるボツリヌストキシンを加工した製剤で、神経筋接合部にアセチルコリンの放出を妨げる働きをして、筋弛緩、鎮痛作用をもたらします。日本国内において、1996年に眼瞼痙攣、2000年に片側顔面痙攣、2001年に痙性斜頸、2009年に小児脳性麻痺における下肢痙縮、2010年に上肢痙縮、下肢痙縮、2012年に腋窩多汗症が、保険医療として適応承認されてきました。
また、美容医療として、しわ治療、小顔治療、美肌治療などにも長年応用されています。
安全性につきましては、通常、医療目的では推定致死量の数百–数十分の一(注射にて換算)という微量を用いることから、用量設定を誤らない限りにおいては概して安全と言えます。

首肩こり治療について

ペインクリニック等の医療機関で、首肩こりの治療として、一般的にはトリガーポイントブロックが用いられます。筋肉や筋膜に局所麻酔薬を注入するものですが、即効性はありますが薬自体の効果時間が5,6時間で半減しますので、持続時間はもったとしても1,2日くらいのことが多いです。
それに対して、ボツリヌス菌注射は2~3日後より効果が徐々に出てきて、3~4カ月効果が持続します。その後徐々に戻り続け半年~1年ほど効果を実感されることもあります。

研究紹介

日本ペインクリニック学会誌 (2010)に投稿された首肩こりに対するボツリヌス菌治療の研究を紹介します。
「慢性頸肩部筋原生疼痛(重度の肩こり)患者に対するボツリヌス毒素療法の有効性」
高雄由美子著

そこに述べられていることは、首肩こりのある26人の患者に対しボツリヌス菌を肩から首にかけて筋腹に10~20単位/箇所ずつ注射して、4週間ごと12週まで調査することで、その効果と安全性を評価しています。
結果として、すべての観察期におてい治療前より有意に症状は軽減しています。副作用は4例で頚部の不安定性が出現したが、いずれも短期間で消失し重篤な副作用は認めなかった。結論として、ボツリヌス毒素療法は重度の肩こりの症状軽減に効果的な治療である、とされています。
また次のような方には禁忌とされています。

  • ・全身性の神経筋接合部の障害(重症筋無力症、ランバートイートン症候群、筋委縮性側索硬化症など)
  • ・痙性斜頸において高度の呼吸機能障害
  • ・妊婦または妊娠している可能性のある婦人および授乳婦

当院においては、首、肩の注射部位の筋肉を、超音波検査にて同定し、確実にその筋肉にボトックス(ボツリヌス菌)薬液を注入します。
1部位に対して10~20単位注入します。総量として、合計50~100単位を注入することになります。
費用は、50単位で4万円(税別)となります。



くわしくは名古屋麻酔科クリニックHPをご覧ください。